HSBC香港の銀行口座のまとめ

2016年に口座を開設した HSBC香港ですが、以前に口座の種類などをまとめたものが消えてしまったので、改めてまとめてみることにしました。

海外投資の勉強の入り口として、何かのお役に立てると幸いです。

HSBC 香港 について

HSBC香港 は イギリスを本拠とする金融サービス機関であるHSBCホールディングス傘下の銀行です。
名前の通り香港にあり、香港ドル発券銀行だったりもします。

HSBC」は「The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited」 の略です。
日本語だと、香港上海銀行 ですね。
HSBC香港の公式サイトはこちらです。

昔は、HSBC香港の銀行口座を開設するためのツアー旅行などがあったようです。
HSBC 口座開設」で検索すると、口座開設サポートに関する情報がたくさん出てくるので、今でもそういうニーズはあるんでしょうね。

口座の種類

まずは、口座の種類から見ていきます。

HSBC香港の口座には、通常の預金口座と統合口座(Integrated Account)の2種類があります。
普通の預金口座は、香港ドル人民元の預金口座と、外貨の預金口座に分かれているようです。日本の銀行口座と同じ感覚ですね。

総合口座(Integrated Account)は「All-in-one integrated account for deposits, credit cards, investment, insurance etc.」と書かれていて、以下を一元管理できるようになっています。

  • 預金口座
  • 外貨口座
  • 投資口座
  • クレジットカード
  • 保険
  • その他

外国人は通常の預金口座を開設できないようなので、必然的に総合口座(Integrated Account)を作ることになります。

統合口座(Integrated Account)

統合口座(Integrated Account)には、以下の3種類があります。

  • HSBC Premier
  • HSBC Advance
  • Personal Integrated Account

Premierには担当者が付いたり、専用窓口を利用できたりします。上得意様向けの口座ですね。
Advanceは、Premierと比べると少しサービスが削られた内容になっていますが、こちもお得意様の位置づけになると思います。
Personal Integrated Accountは、一般利用者向けという感じでしょうか。

それぞれの口座の特徴は以下のページにまとめられています。

口座維持料について

HSBC香港の口座は、持っているだけで口座維持料という名目の手数料が発生します。
海外では一般的のようですが、日本では口座維持料が発生する銀行は珍しいので、すごくデメリットに感じてしまいますね。
ただ、口座の資産額が一定額を下回らなければ、口座維持料は発生しません。

口座維持料は、口座の種類によって異なりますので、具体的に見てみましょう。
なお、口座維持料は香港ドルの口座から引き落とされます。

口座種別最低資産額口座維持料(月額)
HSBC Premier1,000,000 HKD380 HKD
HSCB Advance200,000 HKD120 HKD
Personal Integrated Account5,000 HKD60 HKD

一番サービスがよい「HSBC Premier」の場合、最低資産額(1,000,000 HKD ≒ 15,000,000 JPY)を満たしていないと毎月380 HKD(約5,700JPY)の口座維持料がかかります。
年間で考えると 4,560 HKD ≒ 68,400 JPY (1HKD = 15円換算) になります。高額ですね。

大きな資産を預ける場合は問題ないかもしれませんが、初めは 5,000 HKD(75,000 JPY)の資産を預けておけば維持料が免除となる「Personal Integrated Account」が無難だと思います。

詳細は以下のページを参照ください。

ページの内容を読んでみると、口座維持料に関係してくる最低資産額について、以下のような注釈が書かれていました。

Total Relationship Balance (TRB)a includes: Hong Kong dollar / Renminbi / foreign currency deposits, book value or market value (if applicable) of investments (including Local and Overseas Securities, Unit Trusts, Bonds, Certificates of Deposits, Equity-linked Investments, Structured Notes, Stocks or Unit Trusts purchased from Monthly Investment Plans and Wayfoong Statement Gold), deposit amounts of Deposit Plus and Structured Investment Deposits (including Capital Protected Investment Deposits), utilised lending facilities (excluding mortgage loans and amounts outstanding on credit cards), savings or investment component of life insurance and HSBC MPF balances and HSBC ORSO Defined Contribution Scheme balances which are administered by HSBC Life (International) Limited.

ざっと読むと、資産額はは以下のものの合計のようです。
口座維持料免除のために無駄に現金を寝かすことなく、運用しながら最低資産額を維持することができそうです。

  • 預金
  • 投資の帳簿価格or市場価格(有価証券、投資信託、債券など)
  • Deposit Plus(仕組み預金)
  • Structured Investment Deposits
  • などなど

マルチカレンシー口座

統合口座(Integrated Account)は、以下の12通貨の預金が可能となるマルチカレンシー口座となっています。

各通貨の口座間での資金移動もできますが、当然ながら通貨を両替する手数料が発生しますので注意が必要です。

預金

預金には、日本の銀行と同じく「普通預金(Savings)」と「定期預金(Fixed Deposit)」があります。

普通預金(Savings)

普通預金は「Savings」と表記されます。

各通貨毎に預金ができますが、利息をもらうための最低預金額が設定されています。
利息と最低預金額は、以下のページで確認できます。

2018年04月18日時点の状況

HKDの普通預金金利は、以下のようになっていました。
国内のメガバンクの円預金の金利と変わりません。

口座残高(Account Balance)金利(Interest Rate)
5,000 HKD 未満0.0000%
5,000 ~ 9,999 HKD0.0010%
10,000 ~ 149,999 HKD0.0010%
150,000 ~0.0010%

過去3ヶ月の口座残高の平均が1,000,000 HKD以上になると、金利が0.001%上乗せされるようです。
雀の涙なのは、変わらずですが。。。

https://www.personal.hsbc.com.hk/1/2/hk/misc/tcb-rate

他の通貨も見てみましたが、0.001%で足並みが揃っているようです。

定期預金(Fixed Deposit)

定期預金は「Fixed Deposit」と表記されます。

普通預金と同様に、各通貨毎に預金ができます。
預け入れ期間は1週間~1年の間で設定があり、最低預金額も設定されています。
HKDであれば、10,000 HKD~です。

利息と最低預金額は、以下のページで確認できます。

https://www.personal.hsbc.com.hk/1/2/hk/investments/mkt-info/deposit-rates?pwscmd=cmd_init

2018年04月18日時点の状況

HKDの定期預金金利は、以下のようになっていました。

USD は、以下の通りです。

比較として、SBIネット銀行の金利を見てみると、以下のとおりでした。
SBIネット銀行のほうが断然いい金利が付いていますので、金利だけを見るとHSBC香港に預金するメリットはありません。

SBIネット銀行の口座開設は、こちらから。

入出金

HSBC香港の店頭窓口やATMを利用できるとシンプルで分かりやすいのですが、残念ながらHSBCは2013年に日本向けの個人向けサービスを終了したため、日本国内にHSBCの窓口やATMはありません。

日本国内でATMを使ってできることは、以下の通りです。

ATMの種類 出金入金残高照会
HSBCグループATM香港内
 香港外
(日本国内には存在しない)
-
提携ATM香港内
 香港外(日本を含む)-

HSBC香港およびHSBC香港グループのATMや、香港外のATMを利用する場合は、所定の手数料が発生する場合があります。

入金

HSBC香港の口座へ入金するには、以下の方法があります。

  • HSBC香港の窓口から入金する
  • HSBC香港のATMから入金する
  • 別の銀行から送金する

残念ながら、日本国内の銀行のようにATMから手軽に入金することはできません。
日本国内の銀行から送金すると手数料が高くついてしまうため、特に少額の入金はハードルが高くなってしまうと思います。

ただ、TransferWise というサービスを利用すれば比較的手数料を抑えることはできますので、現時点で国内から入金する場合はこれがおすすめだと思います。

TransferWise について以下のページにまとめています。

海外送金に便利な TransferWise のサービス内容まとめ (pomme-verte.net)

あとは、香港国際空港の第2ターミナルにHSBC香港の支店がありますので、海外旅行のトランジットの際に入国して入金する、ということも可能だと思います。

出金

HSBC香港の口座から出金するには、以下の方法があります。

  • HSBC香港の窓口から出金する
  • HSBC香港のATMから出金する
  • 提携ATMから出金する

出金に関しては、HSBC香港と提携しているATMを利用することで全世界で出金することができます。

出金する際は、HKD口座の残高が現地通貨に両替されて出てきます。
例えば、日本のATMで出金すればJPYが、アメリカのATMで出金すればUSDが出てきます。
その際、HKDから各通貨へ自動的に両替されますので、為替レートが気になるところですね。

提携ATMには、以下の3つがあります。
日本国内でもたくさん設置されているので、ATMが見つからなくて困るということはないと思います。

  • UnionPay
  • VISA Plus
  • Master Ciruus

それぞれ、以下のようなマークが付いていると思いますので、参考にしてください。

■UnionPay

■VISA Plus

■Master Ciruus

出金上限額

ATMから出金する場合、1日の出金上限額が決まっています。
以前は口座の種類によって上限額が異なっていましたが、2017年1月8日からは一律になったようです。

口座の種類1日の出金上限額
HSBC Premier80,000 HKD
HSCB Advance80,000 HKD
Personal Integrated Account80,000 HKD

ATM手数料

ATMを使った際に発生する手数料をまとめてみましょう。
手数料には、大きく分けてHSBC香港に対して支払うものと、ATM設置者に対して支払うものの2つがあります。
それぞれ見ていきましょう。

HSBC香港の手数料

HSBC香港のATM手数料については、以下のページからダウンロードできる資料の14ページに書かれていました。

英語で書かれていますが、ざっと見ておいたほうがいいと思います。

ATM入金手数料

ATMからの入金には、手数料はかかりません。

ATM出金手数料

ATMからの出金については、いくつかのパターンで手数料が発生しますので注意が必要です。

香港国内ATM

香港国内にあるATMから出金する場合、提携ATMを使うとHSBCの手数料が発生します。
HSBC香港のATMはあちこちにありますので、必ずHSBC香港のATMを使いましょう。

ATM手数料
HSBCグループATM無料
VISA/Plus提携ATM25 HKD
Master/Cirrus提携ATM25 HKD
UnionPay提携ATM15 HKD

また、HSBCの手数料とは別に、ATMを提供している側からも手数料を請求される場合があります。
どのATMで手数料が発生するのかは

海外ATM

香港国外にあるATMから出金する場合は、基本的にどのATMを使っても手数料が発生します。
HSBCグループATMかUnionPay提携ATMのいずれかを利用するようにしましょう。

ATM手数料
HSBCグループATM20 HKD (HSBC Premier は無料)
VISA/Plus提携ATM40 HKD
Master/Cirrus提携ATM40 HKD
UnionPay提携ATM20 HKD

ATM設置者の手数料

各国の提携ATMを利用する場合は、ATM設置者から手数料が請求されます。

日本国内に設置されている提携ATMも同様です。
これらの提携ATMのなかで、UnionPay提携のATMを利用した際に発生する手数料は C-STUDY というサイトに丁寧にまとめられていましたので、そちらを参照させていただきました。
C-STUDY によると、どのATMを使っても概ね100円前後の手数料が発生するようです。

日本国内での利用

ATM利用手数料を考慮すると、日本国内ではUnionPayと提携したATMを利用するのがよいと思います。
UnionPay提携のATMを設置している金融機関は、以下の通りです。(2017年12月現在)

HSBC香港とATM設置者の手数料は、合わせると300~400円ほどかかることになりますので、日本国内での日常使いには向かないと思います。

まとめ

HSBC香港の口座の種類、日本でお金の入出金をする場合に、預金金利やAMT利用のコストなどを確認しました。
整理すると、

  • 統合口座は、PERSONAL INTEGRATED ACCOUNT がお手頃
  • 12種類の通貨を管理できるマルチカレンシー口座
  • 預金金利は、どの通貨も特別に高いわけではない
  • 日本のATMから出金する場合は、HSBC香港とATM設置者の両方の手数料が発生
  • 出金は香港ドルの口座から
  • マルチカレンシーの対象通貨であれば、ATMから各国の現地通貨を引き出せるが、出金時に香港ドルから各通貨へ両替される形となる(外貨口座からの直接引き出しではない)。
  • 香港以外のATMからは口座に入金できない

というところが見えてきました。

正直なところ、通常の預金口座と考えた場合には、わざわざHSBC香港の口座を開設するメリットは感じられません。
ただ、外貨を管理しやすいというメリットはあると思いますので、よく海外(特に香港)に行く方にとっては便利なのかもしれません。

やはり、HSBC香港の口座は、投資に使うことも含めて考えないといけないのだと思います。